事業の技術的背景
  1. 抗酸化活性評価の現状

     近年、健康増進に関与する様々な機能性を提唱する食品、健康補助食品、医薬品および化粧品などの健康関連市場の拡大には目覚ましいものがあります。様々な新商品の効能と効果が連日のようにメディアに取り上げられ、それらの機能性は巧みに単純化されて説明されています。その結果として機能性に関する高度な専門用語が氾濫し、その意味が誤用される事例も散見されます。
     例えば、「抗酸化活性」と総称される機能性は、活性酸素ラジカルを還元的に消去して無毒化する効率のことですが、これまでには抗酸化活性の標準的な分析法は確立されていません。抗酸化活性の評価には、ラジカル種を選択的に検出する計測方法である電子スピン共鳴法が適していますが、この方法も残念ながら抗酸化活性の標準的な定量分析法としての技術レベルには到達していません。
     京都工芸繊維大学田嶋邦彦教授を中心に試作された、電子スピン計測システムは抗酸化活性評価における信頼性が高く、抗酸化活性を正確に評価する標準的な分析法になることが期待されます。
     
  2. 生理活性物質の抗酸化反応機構解析に関する技術内容

     植物由来有効成分であるカテキン等のフラボノイド類は、近年最も注目されている機能性物質として位置づけることが出来ます。しかし、このような生理活性物質の様々な機能性を、研究レベルで明らかにするには、分析化学、物理化学および構造化学などの専門知識と、高度な計測技術が必要です。
     我々の基盤技術である電子スピン計測システムは、従来型装置に比べて検出感度が高いだけでなく、ミリ秒オーダーの速い測定が可能なため、抗酸化機構の解析に最適の機能を備えています。弊社の顧問である向井和男愛媛大学名誉教授は、生体関連物質の抗酸化活性機構解析の分野でトップランナーです。このように、我々は、生理活性物質の抗酸化活性を従来法で単純に評価するのではなく、学会発表に相当する高いレベルでの抗酸化活性の評価と反応機構解析を行います。
     
  3. 電子スピンが関与する様々な物質および素材の機能評価

     電子スピン共鳴装置の測定対象は極めて広く、半導体、高分子材料、塗料、塗膜、鉱物、生体組織あるいは触媒などに及び、その詳細な解析と議論は電子スピンサイエンス学会(SEST)あるいはESR応用計測研究会等で盛んに議論されています。
     これらの素材試料は極めて複雑な電子スピン共鳴スペクトルを与えるため、その解析には高度な学識が求められます。弊社の開発部長である山内淳京都大学名誉教授は素材のESR解析に関する第一人者であり、今までに多くの専門書を執筆されています。
     従いまして、いかなる測定結果に対しても理論的解析と評価に関する解釈を行う体制が整っています。